内倉憲一 ニュースレター Vol. 400 頑迷で無能な働き者ほどの、害悪はあるまいよ
2026-07-29
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頑迷で無能な働き者ほどの、害悪はあるまいよ

この言葉は、ドイツ陸軍大将クルト・フォン・ハンマーシュタイン=エクヴォルト (1878–1943) の考え方をもとに、日本で広く知られるようになった言葉です。彼は人を「賢いか愚かか」「勤勉か怠惰か」の二つの軸で考えました。そして最も危険なのは、「愚かで勤勉な人」だと述べています。

一見すると不思議に思えるかもしれません。働き者は会社にとって良いことではないのか、と。しかし、ここで問題にしているのは「勤勉さ」ではありません。「間違った方向へ、一生懸命進んでしまうこと」です。

能力が十分でなくても、自分の限界を理解し、周囲の意見に耳を傾ける人なら大きな問題にはなりません。ところが、自分が正しいと信じ込み、他人の助言を聞かず、どんどん仕事を進める人は、組織全体を誤った方向へ導いてしまいます。本人は善意であり、しかも努力家であるため、周囲も止めにくいのです。

私は経営者として四十年近く会社を運営してきましたが、本当に評価すべきなのは「忙しく働く人」ではなく、「正しい仕事をする人」だと感じています。忙しそうに見える人ほど成果が少なく、静かに仕事を進める人ほど大きな成果を上げることも珍しくありません。

だからこそ、会社では「何をしたか」だけではなく、「それは本当に会社の目的に合っているのか」を常に問い続ける必要があります。努力の方向が間違っていれば、その努力は組織にとってマイナスになることさえあるのです。

経営者にも社員にも必要なのは、勤勉さ以上に「謙虚さ」です。自分が間違っているかもしれないと考え、事実を確認し、必要であれば方向転換する勇気を持つこと。その柔軟さが、組織を強くし、成長させます。

一生懸命働くことは大切です。しかし、それ以上に大切なのは、一生懸命「正しい方向へ」働くことなのです。

 
 
 





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