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成功の理由を忘れない
会社が成長すると、どうしても経営の関心が変わっていくことがあります。しかし、その変化が大きくなりすぎると、本来の強みを失ってしまうことがあります。
自動車メーカーは、もともと良い車を作るために存在しています。優れた設計、信頼性、安全性、そして運転する楽しさ。そうした価値があるからこそお客様はその車を選びます。しかし、いつの間にか車作りよりも財務指標や株価、短期的な利益ばかりを重視するようになると、車の品質が低下してしまうことがあります。
ソフトウェア会社にも同じことが言えます。優れたソフトウェアや革新的な技術によって成長した会社が、開発や技術革新よりもマーケティングや宣伝に力を入れ始めると、製品そのものの魅力が失われていきます。広告は立派でも、実際に使ってみると期待外れという製品は少なくありません。
もちろん、財務管理もマーケティングも企業経営には欠かせません。しかし、それらは本来、良い製品やサービスを支えるためのものです。主役と脇役が入れ替わってはいけません。 企業が長く成功し続けるためには、自分たちを成功に導いたものは何だったのかを忘れないことが大切です。
最近、日本企業の多くを見ていると、成長を終えてしまったように感じることがあります。もちろん素晴らしい企業はたくさんありますが、一方で現在の地位や規模に満足し、次のステップが見えていない、あるいは模索さえしていないように見える企業も少なくありません。
そのような企業からよく聞こえてくる言葉があります。
「昔はこうだった。」
確かに歴史を振り返ることは大切です。しかし、その言葉が未来を語るためではなく、過去に安住するために使われているのであれば危険です。なぜなら、それは自分たちがどのような挑戦をして今の姿になったのか、その起源を忘れてしまった証拠だからです。
さらに私が心配になるのは、魅力を失って業績が低下した企業が、新しい経営者としてその業界をよく知る人ではなく、財務や投資の専門家を迎えるケースです。もちろん財務の知識は重要です。しかし、その会社の製品やサービスに対する情熱や理解がなければ、本当の意味で会社を再生することは難しいのではないでしょうか。
会社は数字だけで成り立っているわけではありません。お客様に価値を提供するからこそ利益が生まれます。利益を生み出す仕組みや商品を強くすることが先であり、利益そのものを目的にしてしまうと、かえって会社の魅力は失われてしまいます。
私は、お金は結果であって目的ではないと思っています。そして、お金は手段であっても、それだけが経営の中心になってはいけないとも思います。
成功とはゴールではありません。次の挑戦への出発点です。
「そこへ連れて行ってくれたものへの集中を失わない。」
企業にとっても、個人にとっても、大切な教訓ではないでしょうか。
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