勝てなくなるとルールが変わる世界 — 発明はいつも規制と戦ってきた
2026-02-22
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勝てなくなるとルールが変わる世界 — 発明はいつも規制と戦ってきた
 
モータースポーツの歴史を見ていると、あるパターンに気づきます。誰かが圧倒的な技術革新で勝ち始めると、ほどなくしてルールが変わるのです。
 
1960年代、ホンダは250ccクラスで6気筒という常識外れのエンジンを実現しました。小排気量でありながら超高回転でパワーを絞り出すその設計は、まさに技術者魂の結晶でした。しかし、その圧倒的な性能の後、レギュレーションは「250ccは2気筒まで」に変更されます。結果として、その技術の系譜はレースの世界から姿を消しました。
 
これはレース界に限った話ではありません。
 
政治、ビジネス、テクノロジーの世界でも同じ構図を何度も見てきました。
新しい技術やモデルが既存勢力を脅かし始めると、「公平性」「安全性」「市場の安定」といったもっともらしい理由でルールが見直されます。もちろん、本当に必要な規制もあります。しかし一方で、競争に追いつけない側がゲームのルールそのものを変えてしまうケースがあるのも事実です。
 
私は長年テクノロジービジネスに関わってきましたが、イノベーションは多くの場合、既存の枠組みの外側から生まれます。もし最初から現在の厳しい制約があったら、歴史に残る多くの発明は世に出ていなかったかもしれません。
 
重要なのはバランスです。
 
ルールが全くなければ無秩序になります。しかし、ルールが硬直化しすぎると挑戦そのものが消えてしまう。特に今の時代、AI、EV、宇宙、バイオなど、技術の進化スピードは過去とは比べものになりません。後追いの規制が過度に強くなると、最も失われるのは「次の可能性」です。
 
レースの世界で起きたことは、実は社会全体の縮図です。
 
本当に守るべきは既存のプレーヤーなのか、それとも未来の発明なのか。
 
この問いは、これからますます重くなっていくと私は感じています。
 
 





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