人の痛みを知るということ ― 日本と西洋の言葉の違い
2026-02-17
人の痛みを知るということ ― 日本と西洋の言葉の違い...

 
人の痛みを知るということ ― 日本と西洋の言葉の違い
 
「人の痛みを知りなさい」という言葉は、日本ではごく自然に使われます。では、この考え方は西洋にはないのでしょうか。実は、似た考え方は存在します。ただし、ニュアンスは少し異なるように感じます。
 
英語でよく使われる表現に “Walk a mile in someone else’s shoes.” があります。直訳すれば「その人の靴を履いて1マイル歩いてみなさい」。つまり、相手の立場に立って考えなさいという意味で、「人の痛みを知りなさい」に最も近い言葉でしょう。ただ、この表現はどちらかというと、相手を理解し、軽々しく判断しないことに重点があります。
 
一方、日本語の「人の痛みを知りなさい」は、もう少し深い意味を持っているように思います。相手の苦しさを想像し、思いやりを持ち、その結果として自分の言葉や行動を変えることまで含んでいます。単なる理解ではなく、人としてどうあるべきかという道徳的、感情的な重みがあるのです。
 
西洋にも似た思想はあります。キリスト教の “Golden Rule(黄金律)”、つまり「自分がしてほしいように他人に接しなさい」という考え方です。これは行動の指針として非常に明確ですが、「痛みを知る」というよりは、公平さや相互性に重点が置かれています。
 
日本の場合、「痛みを知る」という言葉の背景には、仏教的な影響があるのかもしれません。人は誰でも何かしらの苦しみを抱えて生きている。だからこそ他者に優しくする。これは特定の宗教というより、生活や教育の中に自然に根付いた倫理観です。
 
おそらく私が感じている違和感はここにあります。西洋の表現が「理解して判断を変える」に近いとすれば、日本の「人の痛みを知りなさい」は「感じて人として変わる」に近い。似ているようで、出発点が少し違う言葉なのだと思います。
 
https://jp.bloguru.com/UchikuraCo/551731/2026-02-16
 
 





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