深海6000メートルの現実 ― レアアースと日本の覚悟
2026-02-09
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深海6000メートルの現実 ― レアアースと日本の覚悟
 
日本の最東端、南鳥島近海の水深約6000メートルの海底から、調査船「地球」が泥の回収に成功しました。この泥には大量のレアアースが含まれている可能性があると言われています。ニュースとしては夢のある話ですが、ビジネスの視点から見ると、ここからが本当のスタートです。
 
まず理解しなければならないのは、レアアースは「見つかった」だけでは何の価値もないという現実です。6000メートルという深海は、資源開発としては極めて過酷な環境です。安定的に、大量に、そして採算が取れる形で引き上げる技術を確立しなければ、資源は存在していても使えません。これは石油でも同じで、「ある」と「採れる」はまったく別の話です。
 
現在、レアアースの精製・加工は世界的に中国への依存度が非常に高い状態にあります。EVモーター、半導体、風力発電、軍事用途まで、現代の産業はレアアースなしでは成立しません。しかし、原料を日本近海から採取できたとしても、精錬技術や供給網が中国依存のままであれば、サプライチェーンの問題は何も解決しません。
 
つまり、日本にとって本当の課題は「採掘」ではなく、「精製」「加工」「供給」のすべてを自国または信頼できる同盟国の中で完結できる体制を作れるかどうかです。ここまでできて初めて、資源は安全保障上の意味を持ちます。
 
もう一つ現実的な問題があります。深海資源開発はコストが高い。市場価格が下がれば、事業そのものが成立しなくなる可能性もあります。資源ビジネスは技術だけではなく、政治、価格、外交がすべて絡む世界です。
 
それでも今回の調査には大きな意味があります。少なくとも日本が「資源を持たない国」という前提から一歩外に出たことは事実です。重要なのは、夢を語ることではなく、どこまで現実的な産業として成立させる覚悟があるかです。
 
これからの数年は、日本が資源国になるのか、それとも単なる研究で終わるのか、その分岐点になると思います。
 





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